日本核医学技術学会 理事長 山本 智朗

近年、核医学では検査、診断、治療に関わるソフトウェア・ハードウェアのみならず、放射性医薬品の開発や被ばく管理なども含め全般的に劇的な変革期を迎えています。また、医師のタスクシフトに伴い、診療放射線技師においても核医学検査では、検査の予約や患者への検査説明、放射性医薬品の発注、静注等による実投与、検査の実施から放射性物質の廃棄管理まで、一人で行える状況になっており、ますます重責を感じる状況になってきました。さらに、学生の男女比は女性のほうが多い教育施設もかなり多くみられるようになりました。つまり、これまでの古い考え方では通用しない時代をすでに迎えていると感じます。
学会運営においても時代に合わせて活動していかなければなりません。特に注目を集めている分野として、セラノスティクス(Theranostics)が世界的に「熱い」状況になっています。しかし、我が国の現状は世界からみれば、周回遅れどころか、数周は遅れているのではないかと感じています。もちろん、学会として如何ともしがたい問題も多々ありますが、この状況のままというのは我が国の核医学の衰退にもなりかねないと考えています。今後の核医学においても我々診療放射線技師は、医師のみならず薬剤師、理工学者、医学物理士、看護師、臨床検査技師、医療系企業関係者と連携し、チーム医療として益々絆を強くしなければいけません。特に若い力を存分に発揮できる学術環境を提供することが大変重要だと考えております。
本会は、核医学診療における不可欠な医療スタッフとなるべきことを目指して「核医学診療における技術的基盤の確立」をビジョンにしています。そのために以下のことを事業目標に掲げており、さらなるブラッシュアップも日々検討しています。
1. 専門性の高いライセンスの取得(核医学専門技師,医学物理士等)
2. 核医学初心者の教育
3. 財務の健全化
4. 各地方会との連携
5. 関係団体との協調(日本核医学会,日本放射線技術学会,日本診療放射線技師会等)
6. 国際交流(米国核医学会、欧州核医学会、豪州核医学会、アジア核医学技術学会、中国核医学会等)
7. 入会の促進(年齢に応じた年会費の減額も含む)
今後はさらに時代のニーズに合わせたコンテンツを発信していかなくてはなりません。また、増加傾向にある女性技師がこれまで以上に輝ける職場環境にも学会として視点を向けていく必要があると感じています。また国際学会に参加する技師の方も増加しておりますので、研究助成を活用していただけるように広報もしていきたいと思います。そのために、ホームページのリニューアルのほか、SNSを活用し、多くの方々に現状を知っていただこうと動きだしています。また、今後はWebinarによる教育コンテンツの提供などを実行してまいります。
特に若い皆さんの力が、学会の今後を担っていくわけですので、是非、世界に負けない日本の核医学技術のレベルアップをしていきましょう。「“新しい”がみえる」をスローガンにして、役員一同、今後も尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。



